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Jar-Gardenに限らずですが、水槽のような観賞用ケースの中の温度(気温や水温)を計測したいという要求はしばしばあります。

アクアリウムだと温度センサー(DS18B20とか)を入れて計測するのが普通ですが、観賞用の環境で使うと「異物」として見えてしまいます。大き目の水槽であればどうとでもできるのですが、Jar-Gardenのような小さい環境だと目立ってしまいますので、あまり使いたくありません。ケーブルの処理とかも面倒臭いですね。

囲った銀色のものがセンサー本体です。もうちょっと正確に言えば、この銀色のチューブの中にセンサーが入っています。センサーはさておき、ケーブルが結構太いですね。防水なのでこんなものだろうと思います。

自動で計測することを諦めて、時々センサーをつっこむという方法もあります。

こんな奴ですね。

ところが、こういったセンサーは熱容量の関係で安定するまで時間がかかってしまいます。そもそも時々センサーをつっこんで計測するということそれ自体が面倒臭いんですけど。

ということで、これを解決する方法です。

一応「公知化」と書いてありますが、多分既に公知なんじゃないかと思います。そうでなかった時のために念のため。知らなかった人が「ふーん」と思ってくれたら嬉しいです。

背景

小さい水槽の場合、温度計測用のセンサーを入れるのは結構厄介です。センサー自体が邪魔な上に、ケーブルも邪魔です。

また、そういった温度センサーが使える場合であっても、温度センサーは測定対象の温度以外に、ケーブルを伝わる熱やセンサ自体の発熱、また装置にした場合はその装置自体の発熱等の影響を受けやすく、精度を上げるためにはかなりの工夫が必要です。

Jar-Gardenは元々気温等を計測するためのセンサーを搭載しています。

基板右下のマークしてあるのが温度センサー(BME280)です。回路の熱とか避ける意味でちょっと離してありますしファンの風が通るようになっていますが、実際の気温よりも数度高く出てしまいます。また、照明のLEDの影響も受けますので、何を計測しているのかわからないということになってしまいます(次版では廃止予定)。

そこで、より確実に「水槽の中」の温度を計測する方法を必要としていました。

解決

結論から言えば、赤外線放射温度センサーを使います。

真ん中のマークしてあるものがそれです。

赤外線放射温度センサーは気温を計るセンサーではありません。そこにある「物体の表面温度」を計測するセンサーです。

ところが、内部の温度が平衡状態にある場合を考えれば、

物体の温度 ≒ 気温

となります。「平衡状態」なのですから当たり前ですね。何か特別に熱いものとか冷たいものとかがなければ、内部の温度はどこの何を計測しても同じになります。ですから、気温を計測する代わりに「そこにあるもの」の温度を計っても同じということになります。

もちろん換気しているとかヒーターを入れているとか、あるいは恒温動物を入れているとかそういった場合には平衡状態にはありませんが、「普段の水槽」であれば平衡状態であると見做しても問題はありません。また、水であればより平衡状態にしやすいです。

ということで、放射温度計を使って環境の温度を計測することが間接的に可能になります。言い方を変えれば、その辺にあるものを温度センサーに変えるデバイスだとも言えます。

また、この方法だとセンサー自体の温度を容易にキャンセルできます。なぜなら、センサーの温度は測定対象の温度には関係ないですし、容易に測定出来ますからね。

応用

この「温度の平衡状態を使って、気温の計測の代わりに物体の放射赤外線を計測」する方法は、他の応用も考えられます。

ヤマト運輸に高齢者の見守りサービスがあります。

画像はリンク先より

これに「温度センサー」をつけておけば、たとえば「室内での熱中症」みたいな事故の通知も可能になるかも知れません。

ところが、この機器は「電球」ですから、それ自体に発熱があるために、前述の通り普通の温度センサーでは気温が測定できません。電球の点灯がモロに温度に影響してしまいますね。

そこで赤外線放射温度センサーを使って、たとえば壁なりテーブルなりの温度を計るようにすれば、電球に温度センサーをつけるよりは、現実の「気温」に近い温度が計測できます。しかも、「気温センサー」の配置を考えないで(=外部に持たないで)「見守り用電球」だけで解決できます。もちろん見てる先の物体の熱容量とかの関係で、細かい変化はわからないと思いますが、その辺は何らかの工夫は必要かも知れません。

そんなわけで、「気温(水温)を計測する代わりに物体の放射赤外線で温度計測をする」というのは、今考えられている以上に応用が考えられますね。

例によって公知化情報ですので、一切の権利を主張しません。御自由にお使い下さい... と共に、他社の権利に対してどうであるかの保証はしませんし、内容の正当性についても保証はしませんので、その辺よろしくお願いします。

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