前々から、Jar Gardenの中に植物を植えたいと思ってました。

元々Jar Gardenは植物を植えるためのものではあるのですが、水はそこで完全に消費されるものであるという条件がついてました。

これはどういう意味かと言えば、普通の植木鉢のように「水をたっぷりやって環境の掃除を兼ねる」というような灌水はできないということです。植木鉢の灌水は、単純に水分の補給だけではなくて、そこの水を通してやって鉢の中の好ましくないものを流し去るという目的もあるのです。そのために植木鉢の底には穴が開いているわけです。

Jar Gardenはガラスの水槽のような容器なので、このようなことができません。となると、それが必要でない育て方をするものだという条件がついてしまいます。今回はこの条件を緩和するための工夫です。

背景

最初に書いたような条件がついていても、本来のJar Gardenの使い方では問題は起きません。灌水をそれに合わせてやって、蒸発量に合わせた灌水をしてやれば良いだけです。また、そのような「鉢の中の好ましくないもの」も環境の一つですから、それ自体が悪いというわけでなかったりします。つまり、そういった環境に合致した使い方をする限りでは問題になりません。この条件に合致するものと言えば、苔のようなあまり大きくならない植物です。

とは言え、せっかく卓上に置ける生物育成環境(つまりテラリウム)なので、もうちょっと自由度を上げたいと思います。瓶の中にミニ盆栽みたいなのがあるのは嬉しいですよね。また、根に清浄な環境を求める植物(ある種の食虫植物とか)も育てられると嬉しいですよね。

問題点

そういったより汎用性の高い環境にする時の一番の問題は、

排水機構がない

ということです。排水機構がないせいで、余分な水が全て瓶の中に滞留してしまうわけです。

これが普通の植物ではなくて水草(つまり水槽)であれば換水をしてやれば良いのですが、土壌が必要な植物だとそういった形で水を抜くことは用意ではありません。

検討

排水機構がないのが問題であれば、何とかして排水機構を作ってやれば良いわけです。

4つくらい方法が浮かびました。

  1. 瓶の底に穴を開ける
  2. 何らかの方法で瓶の底から吸い出す
  3. 植木鉢を入れてしまう
  4. ひっくり返しても土が落ちないようにする

です。

瓶の底に穴を開ける

瓶の底に穴を開けるのは、植木鉢と同じことです。これはある意味実績のある方法ですから、多分成功は間違いないでしょう。穴の大きさとか数とかは試行錯誤の余地がありますが、難しいことを考えなければちゃんと出来ることが約束されていと思います。

ただし、この方法は瓶を加工する必要があります。また、底の穴から何か出て来ることを考えると、瓶を受けるための皿が必要になると思います。加工は手間を厭わなければそんなに難しいことではないと思いますが、いくら安い瓶(百均だと300円、ちゃんとしたのでも1000円はしない)だとは言え不可逆な加工をするのは抵抗ありますし、強度が下がるかも知れないとか考えると、あまりやりたくありません。また、皿が必要となると、デザインのこととか考える要素が増えてしまいます。かわいいお皿が用意できるのであれば、それはそれで良いことですけど。

瓶の底から吸い出す

底から出て行く穴を作りたくないのであれば、吸い出すための何かを用意すれば良いだけです。

たとえば、テラリウムだということで「池のあるレイアウト」にしてしまえば、池の水を吸い出せば良くなります。水辺を再現するのであれば、この手が使えますね。

池が使いたくなければ「井戸」を掘ってしまえばそこから出せるかも知れません。

ただ、いずれの方法であっても自動的に水がなくなってしまうことはありません。それが結構面倒臭いかも知れません。また、吸い出すとは言え、完全に抜けるわけではありませんので、植木鉢よりは水分の多い土壌になってしまうでしょう。

植木鉢を入れてしまう

実は最初に思いついたのがこれでした。瓶は瓶のままにしておいて、そこに入る植木鉢を用意してそれを入れる。灌水は瓶の外でやって、水が十分切れたところで瓶の中に入れる。これも確実です。また、植木鉢を外に出していじることが出来るので、いろんな意味で楽です。

そう思って、ちょうど瓶に入るサイズの植木鉢を作ることを考えていたのですが、他のことをやっていて気がついたことがあります。それは

ちょうどのサイズだと取り出すのが難しい

ことです。取り出すために瓶をひっくり返すことになってしまって、これはいろいろ問題があります。

植木鉢の形状を工夫して、たとえば取り出すための紐とかアイボルトとかつけると、ちょっと格好悪いですね。

プレートを敷いてその上に植木鉢を載せて、プレートにアイボルト的なものを付けるとか色々考えたのですが、美観を損なずにやるのは難しそうです。

ひっくり返しても土が落ちないようにする

要するに「頑張れ」ってことなんですが、これは言うのは簡単ですがするのは難しいです。

仮にできたにしても、瓶の底から吸い出す方法と同じように、完全に抜けるというわけではありませんので、応用範囲が限られてしまいます。

そんなことで、早々に諦めてしまいました。

採用した方法

いろいろ考えた結果、2の「吸い出す」方法を使うことにしました。

そのために、こういった構造にしました。

底に大き目の石を置き、その上にやや小さい石を置き、そのさらに上に土壌(ここでは水苔)を置く。底に向かって「井戸」をアクリルパイプで作ります。

ここで植えているのはハエトリソウなので土壌として水苔を使っていますが、植える植物に合わせます。底に石を置いて土壌を底から浮かせるところがミソです。こうすれば余分な水は石の層に落ちてくれますから、「井戸」にスポイトを入れて吸い出せばいいだけです。

「井戸」の水を全部吸い出せば土壌の水分を少な目にできますし、残しておけば腰水と同じことができます。つまり、土壌の水分量を自在にコントロールできますね。

いかに腰水であっても入れっぱなしだと水質が悪くなるので、適当に吸い出して換水してやればいいですし、面倒な時はスポイトで吸った水をまた土にかけてやってもいいです。いずれにしても、瓶をそのままにしても

  • 土壌を灌水で洗う
  • 適当に水分を与える

ということが出来るようになりました。

当初は「井戸」が美観を損ねるんじゃないかと思ってたんですが、

これだけ見えるような角度で写しても、案外目立たないものです。どうしても嫌なら「蓋」でもしてしまえば良いですね。

まとめ

こういったちょっとした工夫で、瓶の中に普通の植物を植えることができるようになりました。

そうなると、ミニ盆栽を瓶の中に入れるとか、この例のように食虫植物を植えるとか、いろんなものを瓶の中で育てることが可能になります。

この工夫はJar Gardenのために考えたことですが、同じようにして机の上で場所を取らずに植物を植えて楽しむことが出来るようになります。ちょっと楽しくなるでしょう?

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