mayumi
IoTシステム導入案のご紹介です。お客様の商品にIoTを使ったサポートシステムを導入するという内容です。
こちらの導入案は特定の商品に限定されたものではなく、他のものでも応用の利く内容ですので、IoTの導入をご検討されている方の参考にしていただければ思います。
概要
対象となる商品は特殊な製造機です。 まだ広く販売しているわけではなく、機器としては使用者に依存する部分が多いという状態でした。これから商品として売り出すために、操作のマニュアル化、機器のブラッシュアップ、サポート体制やユーザー教育の体制を整えていく、そのような段階です。
このプロジェクトでは、商品のブラッシュアップとサポートシステムの仕組みのご提案させていただきました。
商品改良のためのデータ蓄積とサポート体制の強化
1. 通常時のサポート
製造機をクラウドサービスに接続し、製造機の状態、稼働実績の情報をクラウドに蓄積します。蓄積したデータの使用目的は「製造機の予知保全」「消耗品の販売促進」「製造機の改良」です。
製造機の予知保全
蓄積された稼働実績情報を分析し、適切なタイミングでユーザーにメンテナンスをアラートし、製造機の故障のリスクを下げます。特に近年の部品不足により故障による部品交換、装置そのもの交換はできない恐れがあります。故障のリスクを下げることは以前にも増して重要な要素です。
適切なタイミングでの消耗品販売
稼働実績と過去の販売情報をもとにタイミングよく消耗品の購入を促します。
製造機の改良
稼働実績や機器の状態のデータを分析し、製造機の性能アップを図ります。
2.スムーズなトラブル対応
現状「トラブル発生時に技術者が現地に何度も行かなくてはならない」という課題がありました。原因は現地の状態が把握できないためです。製造機の設置場所が遠方だとこの往復はそれもかなりの負担です。
原因解明のための2台のカメラ
トラブル発生時のスムーズな原因解明のためのカメラを製造機に2台設置します。状態監視カメラとユーザーと技術者がリアルタイムに状況を共有するためのハンディカメラです。
技術者はユーザーからの話だけではなく、
- 状態監視カメラからトラブル発生前後の製造機の状態
- ハンディカメラにより製造機の現状
- クラウドに蓄積した製造機の状態や稼働実績
をもとに現地の状態を事前に把握し、スムーズにトラブル対応が行えます。
また、ハンディカメラの雲台を遠隔操作して、技術者が直接見たいものが見られることも検討しています。
当該製造機は従事するオペレータの確保が困難(らしい)ので、柔軟な遠隔監視を可能にすることは、少ないオペレータへの負担軽減にも役立ちます。
3.操作インタフェース
商品化のために操作UIを見直し、ユーザーによる操作ミスを可能な限り抑え、使いやすいものにします。
SCADA
製造機の状態確認や操作にグラフィカルで直感的なSCADAを採用します。操作性がよくなるだけではなく、装置内の状態を俯瞰することで問題のある個所を素早く特定したり、障害箇所の切り分けが容易になります。
Webアプリ化し、どこからでもアクセス
クラウドサービスに接続することで稼働実績や現在の製造機の様子がインターネットがつながるブラウザがあればどこからでもアクセスできるようにします。これにより、関係者内での情報の共有が素早くなり、柔軟な対応が可能となります。
4.製造機制御部分の小型化・量産化対応
現状の製造機制御部分は小型冷蔵庫サイズの制御盤にPLCや電源が収納されている状態です。このままでは商品として販売するときに、一台ごとの製造にコストが高くなってしまいます。また、機能に対してサイズが大きすぎる点も改善します。
PLCの部分を専用コントローラーへ
商品化に伴いPLCの部分を専用コントローラーに置き換えます。専用コントローラーにすることで省スペース化と量産しやすくするメリットがあります。
レジャー用EV(船舶)のプロジェクト
類似の対応にレジャー用EV(船舶)のプロジェクトがあります。このプロジェクトでは既存のPLCによる制御を専用コントローラへの置き換えました。
以下の写真はその時に開発したものです。サイズは手のひらより少し大きめです。
レジャー用EV(船舶)開発の詳細は以下のエントリーにあります。
CAN/Ethernet対応周辺機器用マザー(0) 予告
CAN/Ethernet対応周辺機器用マザー(1) 基板
CAN/Ethernet対応周辺機器用マザー(2) 実装
CAN/Ethernet対応周辺機器用マザー(3) 仕様とか
CAN/Ethernet対応周辺機器用マザー(4) その後
IoT化のメリット
IoT化のメリットは様々です。
今回の場合は、
- 製造機の稼働情報を蓄積することによる予知保全ができること
- 消耗品の在庫状況を共有することで適切なタイミングで販促を行えること
- トラブル発生時の状況が技術者と共有され、スムーズに対応できること
でした。
その他にも、使い方により自動化やマーケティングなど応用例は無限です。
- IoT + AI → 生産プロセスの自動化
- IoT + 統計 → マーケティング戦略の最適化
- IoT + サポートシステム → 顧客サポートの効率化と品質向上
- IoT + 分析システム → パーソナライズされたサービス提供
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IoTでできることは幅広くあり、お客様それぞれメリットとなるポイントは異なります。こちらのエントリー内ではピンポイントのご提案は難しいですが、現状の課題やご要望をお持ちでしたらまずはご相談ください。