WASP株式会社

ogochan

皆さんはどんなハンダを使ってますか?

弊社内でも私個人でも、基本的には当然のようにPb freeを使っています。とは言え、これに対する苦手意識はあるみたいですね。そこでPb freeはこんなにいいよという話をしたいと思います。

実用的な話として、弊社の業務でPb freeが必須となることは、今のところありません。うちの作っているものはRoHS(あるいは中華RoHS)の影響を受ける国には今のところ輸出されていませんし(サウジアラビアとかですから)、作っているものも対象品目外(輸送機器は対象外)なので、何が何でもRoHSを守る義理はありません。もちろん、対象国や対象品目の機器を作らないとは限らない(作りたい)とは思っているので、無視するわけでもありません。

とは言え、それは量産の時の話であって、試作でやってる限りであれば、どんな材料を使っても構わないわけです。どうせ量産となれば製造業者に出すまでですから、そこがよろしくやってくれればいい。社内で実験したり個人的なイタズラにまでPb freeハンダを使う意味はあまりないように見えます。

でも、弊社では(私個人でも)よほどのことがない限り、鉛入りハンダは使いません。何かで必要だったので買ったものが少しだけあるのですが、「ないもの」と思っています。特に最近入ったkanorimonに至っては、Pb freeしか使ったことがないと思います。

なぜそれ程までの必要性がないにも関わらず、Pb freeにこだわるかと言えば、当然ながら理由があります。それは、

  • Pb汚染を避けたい
  • Pb freeは気楽
  • Pb freeは実は楽

ということからです。それぞれ説明しましょう。

Pb汚染を避けたい

とにもかくにも、これが一番です。何しろ、RoHSの許容量が1000ppmとのことなので、ハンダゴテの共用なぞもっての外です。バレるとリコールとかなので、厳格な管理が必要になります。そこで、「Pb free用」と「そうでない用」の2種類のハンダゴテを用意したり、コテ先リフレッシャーの類も別のを用意して... という運用をして、それに慣れてしまわないといけません。慣れるためには日頃のトレーニングが大事なので、今のうちから

Pb入りは敵

くらいの勢いで分離すること、注意を払うことをします。

とは言え、たまにやられることが。ちょっと古い基板をいじってて「はっ。やけにハンダが光ってるな」と気がつくことがあります。だいたいそういった時はPb入りだったりします。あるいはちょっと古いハンダメッキのしてある部品、実はRoHS対応ではなかったりします(怪しげな商社からディスコン品を入手するとある)。あるいは外注に製造まで指示させた時の指示にPb freeが入ってなかった時とか... 最後の例は、本当に泣く泣くハンダの触れるものは全交換しました。でもまぁ、それくらい普段からやっておかないと、本当に必要になった時には困ってしまいますから。

Pb汚染については、普段から意識高めにやっておかないと、ついうっかり入って来てしまいますから注意が必要です。また、ある程度使ったコテ先等は定期的にPb入り用に「おさがり」にします。

Pb freeは気楽

Pb freeにしてしまうと、「鉛の害」についての心配がなくなります。

案外忘れがちなんですが、大量にハンダづけした時、指先がハンダのせいで黒くなってることに気がつきませんか? 鉛入りハンダの場合、当然ながらこれに鉛が含まれています。なので、終わった後は手を洗うのは当然として、指先が黒い限りは痒いところを掻くのもあまり良くありませんし、その手でつまみ食いも出来ません。コテ握る方の手はそれ程でもないですが、それでもハンダ線を延ばしたりには使っていると思いますから、表面は鉛汚染されています。

これを気にしだすと、結構うっとおしいです。RoHSの基準の1000ppmというのも、下手すると破ってしまいそうです。もちろん絶対量でそんな量にはならないでしょうけど、運悪く濃度の高い部分を抜き取り検査されたら... 心配しすぎですかね。と言うか、それよりも何よりも基準まで作って規制しようかとゆー鉛を、自分で摂取してしまうようなことになるのは、あまり嬉しいことではありません。単体の鉛は案外害もなければ吸収もされないようですが、同時に摂取したものとの相互作用とかもありますね。なので、そういったことは気をつけ過ぎということもありません。

ところが、Pb freeはこの「気をつける」必要がなくなります。ハンダで黒くなった手でつまみ食いしても、(それを好むかどうかは別にして)鉛の害を心配する必要がありません。痒いところを掻いても平気です。

さらに、金属製のカップの補修に使っても平気です。もちろんPb freeハンダの成分である錫や銀や銅が全くの無害だとか、食品衛生法上問題ないんだとは言えませんが、自分のカップを補修するのであれば、実用的な範囲で問題とはなりません。主成分である錫は普通に(高級)食器に使われる金属です。

Pb freeは実は楽

Pb freeハンダは融けにくくて面倒臭いというイメージがあります。実際融点は高めですし、主成分である錫は割と酸化しやすいので、ハンダゴテがすぐ黒くなってしまって熱伝導が悪くなりやすく、そのせいでよけいにハンダが融けにくくなります。私もそう思ってました。

mayumiにハンダづけを教えた時、当然のようにPb freeでした。ですから、彼女にとってのハンダはPb freeが当たり前だったのです。ところがある日、ちょっとした事情で鉛入りでハンダづけしてもらうことがありました。私は自分の慣れのこともあって、「ハンダ付けってこんなに楽だったのかと気がつくよ」と言っていたのですが、やった後の彼女の反応は違いました。なんと、

Pb freeの方が楽

とのこと。「はぁ?」と思って理由を聞いてみたら、どうやら鉛入りは「固まりにくい」という感想だった模様。確かに融点が高いということは「融けにくい」と同時に「固まりやすい」という意味ですね。

思い起こしてみれば、ハンダづけで火傷する時って、熱を加えている時と言うよりは「固まるのを待ってる」時の方が多いです。ハンダづけの失敗も、加熱する局面よりも冷却する局面の方が多いです(固まる前に動かしちゃったとか)。そういったことを思えば、実はPb freeの方が楽だと言っても良いかも知れません。もちろん個人の感想ですが、一言で「Pb freeは使いにくい」と言ってしまうのは早計でしょう。

というわけで、鉛入りハンダのデメリットとPb freeハンダのメリットを挙げてみました。どっちを使うかは、それぞれの事情だろうとは思いますが、もしなんとなくPb freeを避けていたのだったら、Pb freeを使うことを考えてもいいんじゃないかって思います。まぁその時は調温ハンダゴテを使うことを強くお勧めしますが。