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mayumi

今回は「試作品を作るときに考えていること(概要)」の中で触れた設計部分についてもう少し詳しく書きます。

設計時に考慮する項目

試作品を作るときに考えていること(概要)」では以下の項目を挙げました。

  1. 形状、サイズ、穴、溝(厳密ではなく、こんな感じというレベル)
  2. 材料(木材、アルミ、アクリル、レジン…)
  3. 手段(CNC、レーザーカッター、3Dプリンタ、ルーター、ボール盤、キャスト…)
  4. 用途(耐水が必要なのか、強度はどれくらいあった方が良いのか、熱、無線デバイスの箱であれば、電波が通る素材、蒸れは発生しないのか)
  5. 品質
  6. 予算
  7. 期間
  8. 数量(何個作るか)

これらは最終的にはどれも意識する事ですが、試作レベルに応じて特にどの項目を重要視するかは変わっていきます。

とりあえず作ろう(試作レベル1)

少々みためが残念でも、(1つ分にしては)コストがかかっていても、手間が多少かかっても、とりあえず形にすることを目指します。

形にするのに重要な項目は「1.形状、サイズ、穴、溝」「2.材料」「3. 手段」です。
「4.用途」も意識はしますが、本格的に考えるのは次の試作以降です。

ただし、「7.期間」が短い場合、品質をどれくらい許容できるか、予算はどれくらいとれるかをこの段階で考えることもあります。
自社製品ではないですが、過去に短納期で部品を作った際は納期重視、品質そこそこ、予算できれば控えめでのようなざっくりしたイメージで進めました(レジンでパーツの複製)。この時は、10個もあれば十分だったので量産のようなことは考える必要もありませんでした。

こちらは(↓)最近作成した水槽LED試作1号です。(水槽LEDのアップデート
水槽LEDなのに防水対策は水槽に落下しないようにすることしかしていません。

この段階は試作1号が完成したことに喜びます。しょぼくても完成すると自然と嬉しくなります。
その後は足りない箇所、問題を洗い出して次の施策について考えます。

つくりたいものにする(試作レベル2)

試作レベル1での問題を踏まえて、「4.用途」も意識しながら再設計します。
先ほどの水槽LEDの例だと防水、蒸れの対策、本体の固定方法等々を考慮します。

筐体に使いたい材料があればその材料で設計し、採用できるものか検討します。
その他の使えそうな材料でも試して、コスト、不良率、加工のしやすさ等からベストの材料を考えます。

材料を木材にすると決めていたとしても、木の種類によって加工のしやすさや仕上がりは思った以上に違います。およそ20種類の木材を試した中でも、柔らかいもの、硬いもの、加工はしやすいが、欠けやすい等様々な特性がありました。

「7.期間」も意識しなくてはいけないため、許される範囲で研究していきます。

試作を重ねていく中で「5.品質」「6.予算」「8.数量」も徐々に意識し始めます。

1つの材料から作成できるパーツの個数と材料の価格から1個当たり何円か計算します。同じ材料でも様々な販売店があります。それぞれ販売店の材料ごとに調査し比較していきます。
代替の利く材料で機能や見た目に影響なければ、コストの指標から選択することもあります。
材料を選んで買うだけですが、比較検討の項目が多くなってくると結構大変です。

量産を意識したものに(試作レベル3)

試作レベル2のものをさらに洗練させます。

形がある程度定まってきていても、加工時のトラブルが頻発したり、不良率が多いようであれば設計を見直します。
また、作業効率や精度の向上にむけ、治具を作ることを考えたり、製作工程を細かく調整します。

CNCを使ったパーツの製作時は、CAMから自動生成されたNCファイルを見直し、加工時間の削減(-5時間)、加工物に傷をつきにくくすることで品質の向上に成功しました。

最終的に専門家に依頼する工程を自ら試行錯誤することのメリットは実際に難しい加工、時間のかかる加工を素人ながらでも把握できるところにあると思います。
専門家ほどの知識や技術力がなくとも、妥協できるところ、できないところを踏まえての議論するために自身で作るというのは大事なことであると考えています。

実際の量産はこれからですが、より自分たちの理想の商品となるよう励んでいきたいと思います。

終わり

設計についてこんな感じで進めていますという内容でした。
項目一つ一つ悩んだこともあるのですが、今回はこのあたりにして、またの機会に書ければと思います。

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