ogochan
おごちゃんです。
開発中の会計システムのHieronymusですが、元々これは社内専用のつもりで開発をしていました。
会計システムなんて、今やクラウドサービスでいろいろありますし、プロプラでも良いものは沢山あります。そこに大して機能もなければこれと言ったアドバンテージのないものを公開(有償無償に関係なく)しても、そもそも使われもしないだろうと思っていました。
それでも奇特な人やケチな人が使うかも知れませんが、公開の手間に見合うだけのメリットはないだろうと思っていました。「公開する」というのは、有償無償に関係なく結構手間がかかるわけで、その手間に見合うメリットはなかなか見い出せません。なので、面倒なだけ損だと思っていました。仮にそれに見合うメリットがあったにせよ、会計システムそのものを弊社のコアなビジネスにする予定もないので、そこまで力入れることでもなかろうと。そういったことは弥生さんとかfreeeさんがやることであって、弊社が手を出すものではありません。
とは言え、「改正電子帳簿保存法」に対応しようとした辺りから、「公開してもいいかな」と思うようになりました。
私(生越)は元々オープンソース世界にいましたから、作ったプロダクトは極力オープンにするのが良いしメリットがあると考えています。と言うよりは、プロダクトを公開しない時のメリットというものがピンと来ないでいます。もちろん世の中には「公開出来ないもの」というのは存在していて、そういったものまで公開すべしとは思いませんが、逆にそういった制約さえなければ
公開した方が得
とさえ思っています。
他方、この世界は長いので、「公開することは面倒」ということもよく知っています。面倒なだけならいいのですが、トラブルの元だったりすることもあります。また、トラブルや直接の面倒がなくても、継続的に維持して行くことは結構エネルギーを使います。自分だけ使っているのであれば、「動くからいい」で通るものであっても、「公開」してしまうとそうは行きません。もちろんそれがプラスに働くことも多々ありますが、そうでないこともやはり多々あります。
そういったわけで、何らかの意識や見通しがないと、「公開」には至りません。弊社非公開gitサーバには特にライセンスの問題なく公開できるリポジトリは結構あるのですが、Githubにはそんなに置いていません。つまりはそういったことです。
ところが、「改正電子帳簿保存法」への対応を考え始めた時に、
「あれ? この方面には案外プレイヤが少なくないか?」
ということに気がつきました。つまり、「改正電子帳簿保存法に対応した会計システム」で導入ハードルが低いものが案外にないのです。
税理士の話によれば、改正電子帳簿保存法では、
- 日付
- 相手先
- 金額
で各種書類が検索できる必要があるそうです。私は単純に「電子領収書とか伝票の添付ファイルで保存しときゃいいんじゃないの?」と思っていたのですが、それだけでは実現できないようです。
幸いにして実施は2年延長になりましたが、いつかは対応しなければならないことには変わりはありません。また、書類の管理とか考えると、さっさとやってしまいたいことでもあります。
「伝票ベースの会計システム」が改正電子帳簿保存法に対応するには、まず「相手先」というものを扱うことを考えなければなりません。
弊社の会計処理だとだいたい相手先毎に補助科目を作っているので、その補助科目が相手先とは言えなくもないのですが、そう処理できるものばかりではありません。と言うか、補助科目と相手先が1対1に対応してしまうのは、それはそれで不便の元だったりします。
となると、「相手先」を登録して管理することを考える必要があります。
それは取りも直さず
取引先を管理する
ということでもあって、要するにCRMを作るということにもなります。
ついでに言えば、保存するべき書類は受け取った領収書等だけではなくて、こちらが発行した請求書とかも含まれます。それに「取引先を管理する」ということで考えれば、結局のところ
請求書発行システム
も併せて作った方が良いということになります。
などと考えて行くと、最終的には
バックオフィスシステムの全統合
という展開になります。会計システム(=伝票システム)を中心に会社のいろんなバックオフィスを統合するシステムと言うことは、要するにERPに片手いや両手をかけたシステムになるということです。
もっとも、「どこからどこまでを含むか?」という問題があって、それは必要性とか手間とかに関係があるわけですが、最低限でも前回書いてるように
- 会計
- 証票管理
- 請求管理
- 給与計算
くらいはやった方がいいだろうと考えています。今の弊社システムは全く連動してないという問題もありますし、おそらく他の零細企業も大差ない状況にあるでしょう。これらを廉価に統合したシステムはないのです。
その他にもやった方がいいだろうなと思うのは、
- 資材在庫管理(電子部品の管理は結構ダルい)
- 販売在庫管理(Amazonとかあります)
とかがあります。こういったことは企業の規模に関係なくどこも必要でしょう。
ところがこのような業務を「零細企業」ということを考えるとビジネス規模に合ったパッケージとかサービスは、市場には皆無だと言えます。freeなものは探すのがそもそも面倒臭いですし、なかなか業務に合ったものは見つかりません(あったら作ってない)。また、こういったバックオフィスシステムを操作する人もそんなにいるわけではないですから、複雑なシステムになってしまっては意味がありません。零細企業こそ手間かけたくない(=合理化したい)にも関わらず、手間がかかってしまうことばかりなわけです。
といったことを考えると、作ったものを公開する意味も出て来るだろうなと思えて来ます。そんなわけで、当初は「公開」のことはまるで考えてなかったのですが、今は公開する方向で考えています。
もっとも、最初の方で書いたように、そういったソフトを作ることも公開することは、弊社のコアビジネスとは直接は関係ありません。弊社はあくまでも「IoTを基本にした総合システム開発会社」です。業務システムをクラウド化する事業会社ではありません。ですから、このシステムについては、せいぜい「こんなシステムも作れますよ」というサンプルとしての価値がある程度です(とは言えそれも侮れないですけど)。
そこで公開するに当たっては、どなたかこれでビジネスをしてもらえないかなぁと考えています。お渡しするのは、
- 販売権
- 御社ブランドでの販売
- 技術的支援
です。
反対にお渡しできないものは
- 著作権、著作者人格権、及びその周辺の権利
- 御社以外での販売を認める権利(つまりexclusiveではない)
です。
出来れば会計事務所とか開業支援をしている行政書士事務所とかそういったところが希望ですが、まっとうに商材にしたいところであればどこでも構いません。
これ以外の条件については要相談ですが、費用については大儲けしたいと思っているものでもないので、「工数見合い」程度の費用がいただければ十分です。もしご希望があればお問い合わせ下さい。
PS.
たとえば、日本医師会のORCAシステムのようなサービス設計は可能でしょうし、この世界にああいった感じのものがあるのは良いことだと思います。ORCAシステムの基本設計は私がやったものなので、その時の経験や失敗(=成功)体験は生かせるだろうと考えていますし、他のIoTソリューションと組み合せるとか、やり方次第ではああいった位置つけのものに発展できる可能性だけはあります。
じゃあなぜ弊社でやらないかと言えば、既に書いたようにこのようなシステムそのものは弊社の事業ドメインの中にないので、事業に注力することはできないからです(今回は必要に迫られて作っただけ)。おそらくこのままだと、「自社に必要な機能が実装されたら、後はメンテしてるだけ」になるでしょうし、公開リポジトリを作ってもメンテの分は更新しないかも知れません(面倒が増えるだけ)。
それゆえ、どこかそういったことをやりたいところと組んで、サービス提供が出来れば良いなと考えています。提携して事業会社を作りたいとか、そういった話があれば、それも歓迎です。