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レジンでパーツの複製

写真のパーツを複製してほしいとogochanから依頼が来ました。これはホワイトボードの板を止めるパーツで、教会で使いたいそうです。こういったことは本業ではないのですが、弊社は試作品パーツを作るくらいには環境が整っています。

要件は

  • できれば2週間以内
  • このままでも良いけれどホワイトボードではなくもっと薄いものをはさむので、ホワイトボード用のへこみ部分はない方が良い

とのことでした。

 

パーツ

期間は短いですが、間に合うようにかつ機能的に十分な物を作りたいと思います。

実現方法

弊社にはいくつか工作機があるので、4つほどやり方があります。

  1. 3Dプリンタで出力
  2. シリコンで型取りした後、レジンを流し込んで作成
  3. CNCで切削
  4. レーザーカッターで切り出せる板を使って、積層

手元にあるのは本体パーツのみで3Dデータはないため、1.と3.4.の方法ではCADに起こすところからの作業になります。

  • ホワイトボードの横の支え棒にはまる
  • 薄いものが挟める

という点さえ押さえていればあとは適当でもよいということだったので、CADに起こすのはやればすぐかもしれないですが、 体感的にはしっかり測って作りこんでも、実際に使うときに修正は多少入るもので、今回のケースでは期間内にテストは多くとれて1度という状況だと少し不安です。

2.の方法は確実に動くものの複製なのでその点安心感はありますが、綺麗に複製できるかという点とシリコン型の作成には時間がかかるという点が心配です。

どれも今回のケースだとこれといった決定的な良いところがないので、レジンの練習も兼ねて2.でやってみることにしました。 夏ごろ購入した真空脱泡器を活躍させます。真空脱泡器。これはチャンバー

流れ

原型パーツは上部にネジ穴があり、ここで通すネジを閉めることでホワイトボードを固定する仕組みになっています。 この穴だけは他の部分と加工の向きが違うため最後にボール盤で穴をあけます。

大まかな流れは、

  1. 型取り
  2. レジン流し込み
  3. 穴あけ

になります。

型取り

今回は合わせ型にしました。 本体の他にレジンを流し込むタンクと空気の逃げ場所、それからレジンが流れるためのランナー等を配置して型取りします。 流し込むレジンの量、合わせた時にレジンが漏れにくい工夫や、空気の抜けやすい置き方等、考えます。

 

全体のサイズ感がわかったところで、型取り用の枠をMDFで作りました。MDFは軽くシーラーを塗っておきます。 それから、良いサイズのレジンタンク用のオブジェクトがなかったので、3Dプリンタで出力しました。

型取り用の枠

粘土を敷いて、用意したものを配置します。

粘土に原型を設置

出来上がりのシリコン型。 少し間違った箇所ありますが、型取りには直接影響ないので気にしないようにしました。思ったよりはうまくできました。写真は一度レジンを流し込んだ後のシリコン型の状態で、レジンをはがすときにシリコンが一部欠けてしまいました。ここはあってもなくても良い箇所だったのでこのまま続行します。

完成したシリコン型

レジン流し込み

作成した型にレジンを流します。設計ミスで、レジンタンクのサイズが足りなかったので、ダイソーのシリコン漏斗を使いました。これなら真空に近づけた時にレジンがボコボコしても多少ならカバーできます。

レジンを流した様子

レジンを流し込んだら、容器内を真空に近づけます。レジンが硬化するまでの時間を気にしつつ、空気がしっかり抜けるのを待ってから、元に戻します。

真空にする様子

少し待ってからとりだします。

できあがり。

取り出したレジン

穴あけ

ネジを通す穴をあけます。

ボール盤にて穴あけ

最終完成形

最終完成形

おわり

約束どおりとりあえず2週間以内にそれっぽい複製ができました。 いろいろ反省点はありますが、学びがたくさんあって良い機会でした。このパーツの初仕事は結婚式で使う紙か板をはさむ仕事らしいです。どうか失態のないように頑張ってほしいなと思います。

送り出される複製パーツ達

追記: 2020/11/16

早速今週使われていたようです。初仕事は結婚式ではなかったみたいですが、教壇のセンターで活躍していました。左は牧師さんで、右は手話通訳のogochanです。複製したパーツの仕事はコロナ対策のための飛沫を防ぐ仕切りを支えることのようです(手話通訳者にはいらない)。作成したものが活躍していることは作り手として嬉しいです。

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