ハードウェアからサーバ・アプリまでワンストップで開発

エントリを書くこと

単なる雑感です

近頃ここのエントリが増えないので不思議に思ってる人がいるかも知れませんね。

最近はCultureSquareの方の解説記事を書いていることが多いです。CultureSquareのサイトをもうちょっと何とかしようと思って、それに合わせていろいろいじると共に解説を書いています。

すぐに公開しないで解説とか書いていて気がついたことがあります。それは、こういったスタイルは見直されても良いんじゃないかということです。

昔話

まだ20世紀だった頃、インターネットにダイヤルアップとかでつないでた頃の話です。って個人的には「インターネットにダイヤルアップ」の経験はないんですけど、まぁそんな時代だってことです。

個人の「ホームページ」なんてものを作るのが結構流行っていました。HTMLがやっと3.2くらいになってテーブルレイアウトとかが流行ってた時代です。そういったものをどう使うかみたいな解説サイトやら、いろんな「情報発信」やらを「ホームページ」でやっていた時代です。今でも所々にそういった時代の名残りがあったりしますし、私が運用しているネットワーク利用技術研究会みたいなところにいっぱいあります。

その時代の「ホームページ」はHTMLを自分で打って「コンテンツ」を書きました。そして、そのコンテンツは「更新」されるものでした。ですから、そういったページを見ていると「ウェブマスター」が何を集中してやってるかがわかったりしました。ブックマークしてページが長くなって行くのを楽しみにしたりしていたものです。

しばらくして、「日記」を書き始める人が出て来ました。毎日ではないですし、1エントリが1ページという形式と決まってるわけでもなければ、そもそもそういった「エンジン」を使うことは稀(当時のホームページは静的コンテンツしか使えないサーバが多かった)でしたが、「日記」という形式でエントリを書くことも始まりました。記憶に間違いがなければ、新聞サイト的に本質的に毎日更新されるサイト以外にある「ウェブ日記」がメジャーだったのは日本固有だったように思います。とは言え、初期の「日記」はどっちかと言えばマイナーな方で、メジャーなのは「何か書きたいものがある人がコツコツ更新する」という形式のものでした。

「会社のホームページ」というものは、この時代から始まったものだと言って良いでしょう。アーキテクチャも本質的にはこの時代のものです。

ブログ時代

そうしているうちにブログというものが「輸入」されて来ます。「ウェブ日記」そのものは日本発祥と言っても良いものだったので、ちょっとした逆輸入です。まぁ、どっちがどうというわけでもないボーダレスなところがインターネットの良いところですから、どっちが発祥とかはどうでも良いです。ブログとウェブ日記は意味は同じかも知れませんが、いろいろ違うものでした。その辺については他の人達がいろいろ書いていると思うので割愛します。

ブログと「それ以前のホームページ」の大きな違いは、ブログは「追記式」であるということです。「ホームページ」は「更新(update)」されるものでしたが、ブログは「追加(post)」されるものだということです。

もちろんブログであっても誤字や言い間違いを修正することはありますが、基本的には一度書いたらそのままです。それゆえ、内容も一度書いたらおしまいという「濃さ」であることが多いです。ブログエントリが複数ページになるとか、階層を持つとかはちょっと考えられませんね。もちろん同じテーマで何度も書く「連載」をすることはありますが、ホームページの時代のように「時を経る毎に熟成」されるようなものではなく、どんどん新しいものが追記されて行くものでした。

どっちがどうということは置いておきますが、ホームページという形式のものはブログという形式のものに押された感じがありました。とは言え、ブックマークをして固定読者になってしまえば、その人からの情報を継続的に得ることで濃さ深さの問題はある程度解決されました。アクセスの伸びという意味だと、ホームページを更新するよりもブログエントリを書く方が効率良いです。

「会社のホームページ」にブログがつくようになったところもありますね。主にはニュースや近況のような時系列な記事が多いですけど。

SNS時代

前期SNS時代

ブログ時代の初期は、「自分のサイトにそれなりの場所を用意」することでブログが書かれました。「それなりの場所」は単に特定のフォルダだったり、hnstDiaryのような静的な日記システムを使ったり、あるいはMovable Typeのような動的なブログエンジンを使ったりと方法はいろいろでしたが、そんなにお手軽に出来ることでもなくそこそこ技術のある人の遊戯でした。そのうちいわゆる「ブログサービス」というものが世間で流行り始めて、いろんな人がブログを書く時代が来ました。

ブログそのものが技術的な困難さがなくなったとは言え、そもそも「ブログを書く」ことは結構ハードルがあります。

ブログ以前から炎上舌禍の類は結構ありましたが、そもそもそれ以前の「(ネット上に)文章を書く」ことそれ自体が結構ハードルが高いことです。やーだってねぇ、私も今でこそいくらでも文章書きますけど、小学校中学校の頃は「作文」とか「読書感想文」とか大の苦手で大嫌いなものでしたね。学校出てから「作文」する経験なんてそうそうありませんし。書いても「論文」や「ビジネス文書」の類ですし。

これがSNSの自体になると、いろいろ手軽になりました。文章なんて書かなくても、写真をぺらっと置いておくだけで仲間うちであれば勝手に盛り上がれますし、その「仲間うち」を構築拡張するのがSNSです。それに、そういった仲間うちでのコミュニケーションであれば、「文章を書く」という気合を入れなくても、「お気持ち」をちょっと書いておくだけで十分です。そういったハイコンテキストなコミュニケーションができるのが、クローズドなSNSの良いところでありました。

ハイコンテキストな文章が許されると、文章を書くハードルは一気に下がります。と共に、エネルギーも必要としません。まがりなりにも公開の場であったブログやホームページを書くのはそれなりに「気合」が必要でしたが、SNSで軽く文章を書くのは気楽でした。それゆえ、それまでブログやホームページで活動していた人達がSNSに「潜る」ようになって、公開された文書がかなり減ったなと感じた時代もありました。

この時代のSNSで企業や団体の情報発信をしたところはあまりありませんし、成功例もあまり聞きません。「ファンクラブ」的なものには有効だったようですけど。

中期SNS時代

SNSの時代を分類すると、Twitterの出現が一つの境界になると思います。Twitter以前のSNSは

  • クローズド
  • 文章は比較的長い
  • リンク(友達)が太い

ものでしたが、Twitterは

  • オープン(参加してなくても見える)
  • 短文
  • リンクはあまり意味を持たない

ものです。

それゆえ、それ以前のSNSと比較して「潜る」ことはなくなりましたが、短文が主体であるせいで手軽に書ける分情報発信としては「薄い」ものになりがちでした。Twitterで長文書かれてもねぇ... それでいて「書きたい欲」「情報発信欲」がそこそこ満たされてしまうので、ブログがおろそかになってしまう的な話は「ブログ者(もの)」からもしばしば聞きましたし自分もそんな感じになってます。公開された良質の文書は減りもしませんが増えもしない時代になったように思います。

企業でのSNS利用はこの時代から始まったと言っても過言ではないと思います。主には「お知らせ」の媒体としてでしたが。

後期SNS時代

本題とあまり関係ないので割愛しようと思ったのですが、SNSにもう一つ時代があるとするなら、それはYouTube(r)の出現が一つの境界だと思います。YouTube(r)があまりSNSとして語られることは少ないですが、あれもよく見ればSNSのフレームワークですね。

YouTubeはそれ以前のSNSと違い、

  • 文章主体でない
  • オーサリングに時間や手間や設備が必要
  • 情報の出し手と受け手が非対称

という特性があります。それゆえSNSとして語られにくいですが「YouTuber同志の絡み」とか見れば、これもSNSだなと気がつきます。別に「神々のじゃれあい」でなくても良ければ誰だってやって良かったりするんですが、あまりやりませんよね。

情報発信の手段という目で見た時の大きな違いは前2つです。文章主体でないので情報の再利用が面倒臭いという問題をはらみます。何かにリンクを張るとかでも「概要欄」に書くくらいしか方法ありませんし、「プログラム例」とかも挙げるのも結構面倒臭いことになります。また、オーサリングがブログの初期の頃以上に大変でもあるので、情報を持っているということだけではうまく発信できず「発信力」が要求されるという大変さもあります。撮った動画をそのまま公開するのは簡単ですけど他人に見てもらうためには編集作業が必要で、それはなかなか技術と手間(時間)が必要になりますから、それが用意できないとうまくやれません。

企業でYouTubeを使っているところは結構ありますね。工数さえ確保できれば有効な手段だと思います。問題はその工数の確保ですが、生成AIとか使えば良いのかも知れません。

気がついたこと

長々と歴史話をしたのは単なるインターネット老人会のネタではありません。

ちょっと前まで精力的にここのブログを書いてそれなりのアクセスを稼ぐようになったのですが、今のところその効果がよくわかりません。一説によれば今の5倍くらいアクセスがあればビジネスにつながるんだという話があって、一時はそれを目指していたのは事実ですが今のところ全く仕事につながる様子も空気もありません。

アクセス増だけ目指せば、「今の5倍」は遠いとも思いません。実際、私の個人ブログは一時はここのアクセスの30倍はあったので、不可能ではないでしょう。とは言え、ここのアクセスパターンや歴史的なもの、そしてメディアの特性や弊社の求めるものを考えると、ブログのアクセス数そのものを増やすことを目指してもあまり意味がないのではないかと思い始めてました。つまり、「仕事につながらない」という点では変わらないわけです。

それと共に、今のようにブログエントリでない解説記事をコツコツ書いていると、むしろこっちの方が意味があるのではないかと気がつきました。

アクセスパターンとエントリの内容との関係については「企業秘密」ということで割愛しますが、「一度書いた記事を更新し続ける」というスタイルは、「情報発信」という意味ではとても良いことだということではないかと。

書く方の都合で言えば、

一度で完成を目指す必要がない

のは書く時にとても楽です。

たとえば解説記事の場合だと、「正しい方法」を書くべきで「たまたま上手く行った方法」はむしろ有害だと思ってます。とは言え自分が成功した方法がどっちであるかを知るのは、それなりに時間や手間がかかります。そうなると、確認されるまでエントリに出来ないか、無責任に書き散らすかしかありません。そして、後者を選択した場合は仮に一時的であってもネット上に間違った情報が公開されるということになります。

もちろん間違っていれば訂正すれば良いわけですが、ブログであれば間違ったエントリは消す必要があって、そうなるとコンテンツ資産的には... ということになってしまいます。ブログでも更新しちゃってもいいんですけど、それはブログ的にはどうなんだというのもあって、結構悩むところです(ブログ記事は時系列にも意味があります)。最初からブログのような形式でなければ修正を重ねて正しい内容になって行くのは、ネット上の文書のあり方としては正しい姿だと言えますから、慣習的にはこちらの方が良いですね。

ブログ形式でなければ、書き足りないことは後からいくらでも追記できます。記事を育てるという感じですね。

結局のところ何をゴールにするか次第ではありますが、ブログ形式は

  • 日常の出来事
  • ニュース
  • 近況

といった時系列に意味があるものに留めておいて、

  • 商品説明
  • 技術解説
  • 定点観測

といったようなことはブログ形式でなくて正規にページを作る方が良いなという、ごく当たり前のことに気がつきました。そして、このうち後の2つについては弊社であれば弊社のホームページと言うよりはCultureSquare向きだなということにも気がつきました。

ということもあって、弊社ブログに書いたもののうち、後2つに該当するものはボチボチとCultureSquareの記事にして行こうと考えています。

おまけ

こういったことを考えていると、「ホームページ」「ブログ」とは異なる第三の形式を抽象化して、「それ用」のCMSの必要性があるなとも思いました。この辺をちょっと検討してみるのも面白いですね。ちなみに今はNapier Clientのウェブサーバ機能のMarkdownレンダリングを使ってMarkdownで書くようにしています。同じ程度の手間でもっと良い感じに出来ると良いなと思います。

最近のエントリー

会計システム「Hieronymus」の現状

OrangePi5にZabbixをインストールする

レビュー等の依頼について

オープンソースのノートアプリ「SiYuan」 - CasaOS AppStoreレビュー

お気に入りの色さがし1

創立記念日

現在の営業品目(2)

現在の営業品目(1)

SPDX License Listをデータ化した

Orange Pi5でC3TR-Adapterを試す

CasaOS上で会計システム「Hieronymus」を動かす

会計システム「Hieronymus」v1.0.0 リリースしました

CasaOSでファイル同期アプリSyncthingをセットアップする

第11回 Freshmeat

オープンソースノーコード「Activepieces」でワークフローを作る

RaspberryPiにパーソナルクラウドOS「CasaOS」を導入する

sequelize-cliでdb:migrateすると「SyntaxError: Unexpected token ':'」が出る

LED行燈の試作(2)

CMSの社内向けサービスのリニューアル

LED行燈の試作(1)