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新しいおもちゃ

液晶付きESP32のボード

  Arduino

ogochan

みんな大好きAliExpressを見ていたら、面白いボードを発見しました。

Elecrow 3.5 Inch HMI Smart Graphic 320x480 RGB SPI TFT LCD Module Touch Screen Display ESP32 for Arduino MicroPython

ご存知Electowからの、ESP32に3.5"の液晶のついたボードです。これ自体は特に珍しいわけではないのですが、ちょっと刺さるところがあったもので。

ボードについて

特徴

ある意味とてもありきたりのボードです。

普通のESP32(ESP32-WROOM-32)に液晶ディスプレイといくつかのインターフェイスがついているだけです。形状のことを別にすれば、M5Stack Basicとだいたい同じ感じのものです。違いとしては、

  • 薄い(12mmくらいです)
  • 液晶が大きめ(3.5" 480x320)
  • M5-Bus(30pinコネクタ)がない

というところです。M5-Busと言うかESP32のピンそのまま出ているものが少ないというのはちょっと残念なところがありますが、Groveコネクタについては同じだけ出ていますから、まぁたいていの用途には十分かなと思います。

実は一番良いなと思ったのは、「ケースなし」という選択が出来るということです。と言うより、これ自体は「部品」ですから、好きな筐体に組み込むということが前提です(後述するようにケースもあります)。そのため、「ちょっと液晶がついたマイコン使いたいけどM5Stackそのままはいかにも取ってつけた感じがして嫌だ」というような向きにはちょうど良いです。Wi-Fiの必要性は別にしても、「液晶がついたマイコン」を手軽に組み込んで使いたい用途は結構あるんじゃないでしょうか? これを自分で設計して動かすのは、いろんな意味で面倒臭いものです。そもそも、適当な液晶をそれなりの数量のアテをもって選定するってのは、それ自体結構大変です。お手軽に試してみる時であれば、それこそM5Stackを使えば十分なんですが、「ちゃんとした筐体に納めたい」となると、なかなか大変です。それが全部揃っていて動作確認のファームまでついているというのはとても嬉しいですね。

インターフェイス

以下がボードの写真です。これを見ると、必要なことはだいたいわかるのではないでしょうか?

UARTとI2CがGroveで出ています。GPIOもGroveですが、引き出してあるピンに注意が必要かも知れません。

前述のように、インターフェイスはこれだけです。GPIOの余分が出ているとか、I2CやSPIが出ているとか、そういったことはありません。

バッテリの供給と充電ができるようなコネクタもありますね。つまり、バッテリ動作が可能であるということです。常用の電源は、USB-Cから取っているようです。

スピーカ端子があります。モノラルです。U2というのは普通のアンプのチップです。DACはESP32の内蔵のものを使う前提です。

「TFカード」なるものがあります。まぁ雑なことを言えばmicro SDカードですね。インターフェイスはSPIです。

回路図が公開されていますが、特別な欠点もなければ工夫もないという感じです。

液晶について

3.5" 480x320の液晶がついています。

TFTである旨を謳ってますが、実際どうなんでしょう。Color Depthが18bitですから、だからどう?って感じではあります。

写真だとイマイチですが、直接見ると結構綺麗です。ちなみに、表示しているのは最初から入っているデモアプリです。

抵抗膜方式ですが、タッチパネルになっています。添付品にタッチペンがついてます。

開封したところ

 

下段ちょっと右にある黄色の棒がそれです。

まぁ、これも「だからどう?」って感じではありますが、タッチが確実になるのはちょっと嬉しいです。どうせ落としてなくしてしまうんでしょうけど。

動きは遅いとゆーか、もっさりもっさりしています。これはインターフェイスがSPIですからしょうがないですね。

画面というかUIのデザインについては、LVGLを使って欲しい感じです。LVGLはお金がある人ならSquareLine Studioとか使えて良いですね。なければないなりに自分で書けば良いだけですし。LVGLのサイトに行くと、このデバイスは公式サポートのようです。

感想

ちょっと使ってみた感想でしかないですが、今のところ特に不都合を感じる部分はありません。強いて言えば、スピーカがステレオであるかI2Sが出てくれていれば、もうちょっと都合が良かったなぁと思ったり、雑でもいいからGPIO全部出しといてくれよとか思わないではないですが。

びっくりしたのは筐体(?)で、これが意外にしっかりしています。

元々、「基板」として評価しようと思っていたもので、筐体は「おまけ」のつもりだったのですが、組み立ててみると結構しっかりしていました。

まず、ベゼルの部分が切削加工です。

基板がぴったりはまるためにサグってあるのですが、これが切削加工ですし、外周の切り出しも切削加工です。外周はレーザーカットしてから削ったのかも知れませんが、何にしろ全体がちゃんと削ってあります。サブりの深さも絶妙なので、ぴったりはまっています。

この次の層に部品の厚さに合わせたアクリル板が乗ります。

このレイヤでびっくりしたのは、鬼目ナットがついていることですね。これは組み立てるためではなくて取りつけるためのものですが、そういったことまで考えられているのに驚きです。今までこういったものについていた「ケース」は本当にオマケというか「裸よりマシでしょ」という感じがひしひし感じられるものだったのですが、「使う」ということも含めて作られているということで、いろいろ変わったんだなと思います。

そして、「ケース」としてはもう一層つきます。

立派でしっかりしたケースになりました。それでいてコネクタが見えているのは、これもまた「わかってる」感じです。

加工精度ですが、

変な隙間もない感じなので、十分ではないかと思います。これが許せないのであれば、ミル跡を消す程度に磨けば、もっとちゃんと合ってくれるでしょう。この程度のものとしては上出来です。まぁ、部品として使うのでどうでもいいとは思いますけど、アプローチの参考としては良かったです。

まぁ添付されている締め上げ用のネジが、タッピングネジではないのに雌ネジが切られていないのは、ちょっとアレですけど(タッピングネジにして欲しかった)。

おわりに

ファーストインプレッションとしてはこんな感じのボードで、なかなか良い感じでした。最初に言った「液晶がついたマイコン」を手軽に組み込んで使いたいという要求には十分応えてくれそうです。

これを題材にしたLVGLのチュートリアルもあるので、解説のドキュメントを書いてCulture Squareの方に置いて行けたらなと思ってます。

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